本と穏やかな暮らし

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【夏の少女たちの物語】|『蛇行する川のほとり』 恩田 陸

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今回読んだのは、恩田陸さんの『蛇行する川のほとり』。

 

 

 

 

 

私は3冊版の方を読みましたが、現在は1冊の文庫にまとまって刊行されているようです。

 

 

 

 

 

『蛇行する川のほとり』のあらすじ

 

通っている学校で有名な美少女の先輩2人から突然声をかけられた鞠子。それは演劇祭に向けて絵を仕上げるために「合宿」に来ないかというお誘いだった。憧れの先輩から声をかけられた鞠子は舞い上がるが、友人の真魚子は不審に思いながらも送り出す。

その合宿所がある場所は、昔に起こった事場現場に近いことを鞠子が知ったとき、運命の歯車が動き出す。

 

 

『蛇行する川のほとり』の印象的な言葉

 

「少女というのは無残なものだ。いっぱいの笑顔と喚声で短い時間をかけてゆき、自分が何者かも知らぬうちに摘み取られて腐っていく少女たち。あたしはいつも、廊下や階段や中庭の木陰に、彼女たちの死体をみていたような気がする」

『蛇行する川のほとり』(中央公論新社)恩田 陸 より

 

 

 

 

 

『蛇行する川のほとり』の感想

 

高校生の少女たちの夏物語。

美少女の先輩2人はどこか秘密めいたものがあり、ある男の子は訳知りの感じで鞠子を合宿に行かないよう忠告し、また別の男の子は鞠子に強烈な一言を放つ。

その背景には、10年前に先輩である香澄の母親が誰かの手によって亡くなっており、また同日には、野外音楽堂で一人の少女が梯子から転落して死亡したという事件が、彼らの心情を複雑なものにしていた。

 

この2つの事件について10年もの時を経て真相が明かされるという、ミステリー的要素もありました。

合宿所についてからは、この事件が脳裏にあって不気味な感じがずっと付きまとっていて、読んでいて怖かったです。

 

この物語は少女(少年も)たちの心の不安定さが絶妙に上手く表現されていて、恩田陸さんらしさ全開の作品でした。

特に芳野から香澄への複雑な想いというのが心に染みました。

女の子って表面上では仲良くみえるんだけど、それだけじゃなくて、その中には色んな感情が渦巻いていたりするんですよね・・・。

とは言ったものの、そんな中でも芳野はさっぱりとした性格なので私はとても好きでした。

思春期の少女たちの複雑な心理描写を書き上げるのは、恩田さんが一番だと私は思っています。

 

 

 

とても美しい物語でした。

 

 

 

 

【※以下、多少のネタバレあり】

 

第一部:ハルジョオン(鞠子視点)

美術部の舞台背景製作合宿に参加。

志摩暁臣から「姉を殺したのはお前だ」と言われる。

 

第二部:ケンタウロス(芳野視点)

芳野から香澄への複雑な想い。

10年前に亡くなった犬と睡眠薬の話をすることで、事件の真相に少しずつ迫っていく。

そして香澄が・・・・

 

第三部:サラバンド(真魚子視点)

合宿に参加していなかった真魚子が鞠子のSOSを聞きつけやってくる。

過去の事件の当事者でないことから、客観的な視点で物語が展開される。

残された者たちによる贖罪。

 

終章:hushaby(香澄視点)

事件の全てを知る香澄によって真相が明かされる。

 

 

 

 

終わりに

 

この作品は少女たちの物語でした。

この対として位置づけられているのが『ネバーランド』という作品です。

 

 

『蛇行する川のほとり』:夏の少女たちの物語

『ネバーランド』:冬の少年たちの物語
 
となっています。
 

『ネバーランド』も凄く面白いのでオススメです。

2作品を読み比べてみるのも面白いかもしれませんね。

 

恩田ワールドを是非体感してみてください♪

 

 

 

 

 

 

 

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