千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や絵画鑑賞、暮らしのことも

『死んだレモン』 フィン・ベル

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今回読んだのは、フィン・ベルさんの『死んだレモン』。

 

 

 

 

『死んだレモン』のあらすじ

 

お酒により生活が堕落した上に不慮の事故で車イス生活になってしまったフィン。自暴自棄になったフィンが妻とも別れ、辿り着いたのはニュージーランドの南の果だった。小さな町ながら人々の優しさに触れつつも、隣の家に住む3兄弟が何とも言えぬ不気味さがあり、どこか落ち着かない日々を過ごす。フィンは自分が引っ越してきたコテージに住んでいた少女が失踪していたことを知り、理由もなく独自に調査をしていく。そしてついに命まで狙われる展開へと発展していく。

 

 

 

『死んだレモン』の印象的な言葉

まちがっているという自覚がありながら、自分を偽るのだ。

『死んだレモン』(東京創元社) フィン・ベル より

 

 

 

 

 

『死んだレモン』 の感想

 

ニュージーランドを舞台にしたミステリ小説です。

主人公はフィン・ベルで著者の名前となっています。最近、ペンネーム(本名?)を物語の登場人物名にしている作品を多く見かける気がします。

 

物語は車椅子の主人公が崖に宙づりになっている所から始まり、そうなってしまった原因について、引っ越してきた日の回想シーンへと時間軸が戻っていきます。

回想シーンとはいえ、5か月前程度なので特に混乱することなく読むことが出来ました。

いかにも怪しい隣人が居たり、街に出て情報収集をしてみたり、主人公の命が狙われたり・・・と話の展開としては「THE・王道ミステリー」だと思います。

 

ただ、事件の詳細や真相を知っていく中で、結構残虐な描写があったりして主人公同様、私も気分が悪くなったところがありました。

主人公がカウンセラーを定期的に受けていたり、精神異常者のことについてちょっと話が出てきたりしていて、心理学について詳しく書かれているなぁと思っていたら、著者は法心理学の専門家で刑務所で受刑者のカウンセリングを行っていたらしいです。

その経験を上手くこの小説に落とし込んでいて、だからこんなに説得力があるんだなと思いました。

 

ニュージーランドが舞台という結構珍しい小説かなと思うんですが、文化や自然描写などニュージーランドだからこその物語となっていて、とても良かったです。

また、事件の真相ではどんでん返しがあり、最後の最後まで翻弄されたのでそれも面白かったです。

 

 

*物語では、Dead Lemons(原題。2019年にThe Killing Groundに改題)を人生の落伍者と訳してます。

 

 

終わりに

 

あとがきを読むと、著者のフィン・ベルさんは第5作まで執筆が終えているそうです。シリーズ化されていたんですね!

この本の出版が2020年7月なので、次作が発売されるとしたら少し先の話にはなると思いますが、面白かったので是非出版してほしいなと願っています。

 

 

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