千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や絵画鑑賞、暮らしのことも

「普通」を優しく否定した感動の家族物語|『水を縫う』 寺地 はるな

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今回読んだのは、寺地はるなさんの『水を縫う』。

初読み作家さんでした。

 

 

 

 

 

 

『水を縫う』のあらすじ

 

高校生1年生の清澄の趣味は刺繍をすること。姉の水青の苦手なものは可愛いもの。母は仕事一筋で子供との接し方が苦手。父親らしいことができない父親。良いお嫁さんになるよう教育された祖母。「男らしさ」、「女らしさ」、「良い母親」、「良い父親」になれない彼らは世間とズレていることにもがき苦しみながらも、「普通」ということに優しくNOを突きつける、感動の家族物語。

 

 

『水を縫う』の印象的な言葉

 

流れる水は、けっして淀まない。常に動き続けている。だから清らかで澄んでいる。

『水を縫う』(集英社) 寺地 はるな より

 

自分に合った服は、着ている人間の背筋を伸ばす。

服はただ身体を覆うための布ではない。

世界と互角に立ち向かうための力だ。

『水を縫う』(集英社) 寺地 はるな より

 

 

 

 

 

『水を縫う』の感想

 

 私が良く読んでいる書評ブロガーさんが大絶賛していたので、気になって読んでみました。

その絶賛通り、心に響くような内容でとても良かったです。

 

5人の家族のそれぞれの視点から物語は進み、家族全員それぞれが「普通」ではないことに押さえつけたり目を背けていて、それが姉の水青の結婚によってだんだん変わっていく・・・という物語です。

 

話の展開が大きく変わっていくということもなく、基本的には柔らかく緩やかな展開のまま終わっていくという内容でした。

ただ、私が初めて読んだ作家さんだからか、ちょっと独特の雰囲気は感じました。文体かな・・・?読み進めるうちに特に気にならなくなりました。

あとは、同調圧力だったり、心の傷だったり、マイノリティに苦しむ心理描写がとても丁寧だなとも思いました。

 

最近は、「男らしさ」「女らしさ」の押しつけは減っているのかもしれませんが、それでも「普通と違う人」に対してまだまだ世間の目が厳しいとは思いますし、何よりも自分が自分を傷つけていたり、勝手に自己嫌悪に陥っている傾向があるのかな。

 

人にはそれぞれ得意なこと・苦手なこと・好きなこと・嫌いなことが違うので、それを認めてあげられるような社会になってほしいですし、私も人に対して寛大でいたいと強く思いました。

 

清澄の刺繍が施されたウェディングドレスを是非見てみたいです。

 

 

 

終わりに

 

 約250ページというそこまで分厚い本ではないのですが、マイノリティのことが描かれていて濃い内容で、私も色々を考えさせられました。

誰もが抱える悩みにそっと寄り添い心をほぐしてくれるような温かな一冊だと思います。

「自分はこうであらなければならない」と思って苦しんでいる人に、是非この本を読んでほしいですね。

 

来年の本屋大賞にノミネートされそうな作品です。

 

 

 

 

 

 

 

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