今回読んだのは、NHKで放送されている「100分de名著」の8月のテキストになります。
『モモ』は児童文学の中において圧倒的な知名度がある作品です。
小学生の時に読書感想文を書いた人も多いのではないでしょうか。
私の大好きな作品でもあります。
100分de名著では、心理学の側面からこの『モモ』という作品について解説されています。
私が心理学の解説で特に面白かったと思ったのは、モモの性格について分析されていたところです。
モモは「聞く力」が特に優れていました。
市民はただモモに話をするだけ。モモはただ聞くだけ。
それでも市民は話をしていくうちに、自分の中で考えがまとまって答えが出てくるのです。そのためモモは誰からも愛されるのです。
大人になって改めてこのことを知ると、いかにモモの「聞く力」が凄いことだと分かります。
人の話を聞いていると、どうしても「ここはこうした方が良い」とか「私は~」など自分の意見をついつい言ってしまいがちですが、モモは相槌を打つだけということが出来るのです。
心理学者はこれはモモに心の余裕があるから、このようなことが出来るのだと分析をしています。
それを聞いて私は「聞く力」がないんだなと思いましたし、今後身に付けておくべきことではないかと感じました。
小さい頃に読んでいた何気ないことをこうやって解説してくれることで、より物語の深みを知ることが出来てとても勉強になります。
そして、『モモ』の大きなテーマは「時間」です。
この本でも「時間」についてたくさん解説がされていました。
時間を節約しているのに、余裕は生まれない。
これは今の現代に言えることですよね。
便利な世の中になったのにどこか慌ただしい日々。
『モモ』では時間を奪われた市民たちは怒りっぽくなっていましたが、きっと現代人もこのようになっているのかなと思います。
非効率で無駄だと思われる時間でも、それが心の余裕に繋がっていくのだと思うと何が正解なのでしょうか・・・?
改めて、自分の時間をどのように過ごすか、ということを深く考えさせられました。
灰色の男たちは私たちのすぐ傍にいる(あるいはすでに乗っ取られている)ので、どう撃退するのかがこれからの課題になっていくのかなと思います。
そもそもこの作品が1970年代に書かれているということが凄い。。。
この本では最後に「大人がファンタジー小説を読むこと」について書かれていました。
私はファンタジー小説が大好きなのですが、心のどこかで「大人がファンタジー小説を読むのはどうなのかな・・・」とたまに不安になることがありました。
ですが、ここでは大人がファンタジー小説を読むことの大切さが説かれていて、とても安心しました。
ただし、「上質なファンタジー小説」という条件はありましたが。。。
これからもファンタジー小説を読んでいきたいなと思います。
終わりに
このテキストと番組を観て、改めて『モモ』を読みたくなりました。
世界的に有名な作品というのは、児童文学といえども奥が深いことが改めて分かりました。
いつも時間がないと嘆いている大人に是非読んでほしい1冊です。(忙しいから本を読めないということでもあるんでしょうが・・・)
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