今回読んだのは、イーディス・パールマンさんの『蜜のように甘く』。
本書は、『Honeydew』(2015)の中から10篇を訳出した日本オリジナル版となっています。
『蜜のように甘く』のあらすじ
戦争で夫を亡くしたペイジと離婚したばかりのベン。ペイジは足のケアサロンを営んでおり、ベンの楽しみはペイジの生活の一部始終を観察することであった。しかしベンは意を決して初めて店を訪れ、そこで忘れられない事故のことを打ち明けてしまう。(「初心」)
世界最高の短編作家による、めくるめく10篇。
『蜜のように甘く』の印象的な言葉
カルディコットでもっとも重んじなければならない規則は、寛容と自律であることを、理事会の面々と自分自身の胸に刻みつけた。
それ以外のことはすべて甘露なのだ。
『蜜のように甘く』(亜紀書房) イーディス・パールマン
『蜜のように甘く』の感想
「ボストン・グローブ」紙は筆者を「現存するアメリカ最高の短篇作家」と評し、「ロンドン・タイムズ」紙は、「世界最高の短篇作家」と讃えました。
その評価通り、10篇全てが素晴らしい作品でした。(「大袈裟だな・・・」と思ってしまった自分が恥ずかしいです)
どれも何気ない日常を描いているのですが、20ページにも満たない中で奥行きが感じられ、しんみりとするものもあればユーモアや皮肉が利いているものもあり、飽きることなく物語に引き込まれます。
過不足がなく上質な文章というのはこういうことを指すんだな、と気付かされた一冊でもありました。
私は、不倫した女性の行く末を描いた「従妹のジェイミー」、くじ引きで将来の結婚相手を決める「帽子の手品」、女子校の校長と摂食障害の生徒を描いた「蜜のように甘く」の3篇が特に好きでした。
・・・素晴らしい作品だったと評しましたが、実はこの本を読み始めたばかりのときは、あまり物語が頭に入って来なくて2~3回読み直して、ようやく良さに気付いたというのが実情です。
これは本の問題では全くなく、私の読解力(理解力)が低いせいです。
自分にとって読みやすい本ばかり読んでいるので、少し難しい言葉だったり比喩表現だったりが出てくると、途端に難しい本になってしまっているんだと思います。
自分が好きな本を読むのも良いですが、たまには自分にとって難しい本を読むことで、読解力や語彙力、想像力の幅を広げたいなと思いました。
そうすると読書の幅も大きく広がっていくんじゃないかなと期待もしています。
終わりに
この本をカフェで読むと、とてもお洒落な気分を味わえるなと思いました(笑)
自分がもっと年をとった時に、こういった上質な本を普段から読んでいて、様になる女性でありたいなとも思います。
訳出されなかったという10編も読んでみたいですね。
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