今回読んだのは、森晶麿さんの『探偵は絵にならない』。
森さんは作品を全て読んでいるというぐらい、私が大好きな作家さんの一人なのです。
色々あって発売されてもすぐに読むことが出来なかったのですが、今回、こうして読めたことが単純に嬉しいです。
『探偵は絵にならない』のあらすじ
若くして評価を受けるも最近は行き詰っている画家の濱松蒼。
東京で同居していた彼女のフオンが突然家を出ていってしまい、彼女の行方を捜していると、どうやら二人の故郷の静岡県浜松市に帰ったらしいとの情報を掴む。
蒼も彼女を追いかけ浜松市へ帰ることに。
友人だったアロマテラピストの小吹蘭都の家に居候させてもらいながら、奇妙な依頼が舞い込む仕事をしつつも彼女の行方を追う日々。
果たして蒼はフオイを見つけることが出来るのか。
浜松を舞台に描く連作ミステリー。
『探偵は絵にならない』の印象的な言葉
――だったら、あなたの孤独と、私の孤独がぴったり合ったってことね。こういうの一石二鳥っていうの?
『探偵は絵にならない』(早川書房) 森 晶麿 より
目を閉じた。
フオンに見せたかった景色を、探すために。
『探偵は絵にならない』(早川書房) 森 晶麿 より
『探偵は絵にならない』の感想
最初にこの著者の作品は全部読んだことがあると書きましたが、この『探偵は絵にならない』は、いつもと雰囲気が違うなと思いました。
森さんの作品で男性が主人公の場合、高圧的だったり語り口調が多いんですが、蒼は良い意味で平凡だったのがいつもと違うと思った要因かもしれません。
連作ミステリーということで1話ごとに謎があり、蒼と時々蘭都が解決していくという話になるのですが、私は第2話の「死と師と雨」が好きでした。
一番悲しくて衝撃的な結末だったのが凄く印象的でした。
自分の言葉で人を傷つけて、謝れないまま永遠のお別れをしてしまうのはとても辛いことです。
私も過去に人を傷つけたことがあり、幸い、謝ることが出来たのですが、それでも呆然とした相手の顔は一生忘れられないと思っています。
だからもう会えなくなってしまった場合、ずっと心の痛みとして残るというのは少し分かる気がします。
私はあの日から感情的になって相手を責めないと決めました。
それ以外では全く私とはかけ離れた話なのですが、ふとそのことが頭をよぎったこともあり、この話が心に残りました。
残念なところを一つ挙げるとするならば、私が浜松に全く詳しくないので、恐らく浜松に関して散りばめられているであろうキーワードを全く拾えなかったことですね。(作品ではなく私の問題です)
浜松を知ってたらまた作品に対しての捉え方が変わったのかな。
一度は浜松に行ってみたいです。
あと、この作品で大きな役割を果たしていたのがアロマ!
ジャンルとしてはハードボイルドらしいのですが、アロマのおかげでとてもお洒落に感じました。
表紙も綺麗ですしね。
読んでたら私もアロマを焚きたくなりました。
色々書きましたが総合的にとっても良かったです。シリーズ化希望です!
青年二人の親もまだそんなに出てきていないし、なんとなくシリーズ化しそうな雰囲気はあるのですが・・・。
もしシリーズ化されるなら「黒猫シリーズ」と双璧をなすんじゃないかと勝手に思っています。
終わりに
森さんの作品で4月に新刊が出てるみたいなんですが、とあるアニメのスピンオフ作品でアニメ自体がまだ3話しか観れておらず、いつ小説が読めるのか分かりません・・・。
こうやって積読が増えていくのでしょう。
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