千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や絵画鑑賞、暮らしのことも

【不思議な優しさと哀しみに満ちた常野一族の物語】|『光の帝国』 恩田陸

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今回読んだのは、恩田陸さんの『光の帝国』。

 

 

 

初めてこの作品を読んだのは高校生の時。

当時はあまり話がよく理解が出来なかったけど、どこか心に残る作品だったなと思い出して、今回読んでみました。

 

 

 

 

 

 

『光の帝国』のあらすじ

 

「常野」から来たといわれる彼らには、不思議な力があった。

膨大な書物を暗記する能力、少し先の未来が見える能力、遠い出来事を知る能力・・・。

そんな彼らは上手く人ごみの中に紛れ、目立つことなく生活をしている。

彼らは何のために存在し、どこへ帰っていくのか。

不思議な優しさと哀しみに満ちた常野物語が始まる。

 

 

『光の帝国』の印象的な言葉

 

「僕たちは、草に頬ずりし、風に髪をまかせ、くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながらこの世界で暮らそう。そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう」

『光の帝国』(集英社) 恩田陸 より

 

 

 

 

『光の帝国』の感想

 

「光の帝国」と聞くと、スターウォーズみたいな銀河を征服するような話だったり、西洋ファンタジーで国を作ったり繁栄させたり・・・そんな話を思い浮かべるかもしれません。

それは「帝国」という言葉があまりにも強いからかなと思います。

しかし、この『光の帝国』のお話は日本の民話に近い雰囲気があり、常野一族の現代の暮らしと過去がオムニバス形式で描かれています。

舞台は東北で、柳田国男さんの『遠野物語』に近いイメージを持ってもらえると良いかも。むしろ『遠野物語』をモチーフにしているんじゃないかと思っています。

 

『夜の底は柔らかな幻』にも書いたのですが、恩田さんの作品って超能力の説明が一切ないんですよね。
今回も「しまう」「裏返す」というキーワードがありましたが、それがどのような能力なのか分からず、ただ憶測のみ。
この能力の説明は最終巻までなさそうな気がします・・・。
これは意図的に能力の説明をしていないんだと思っていますが、ファンタジーを読み慣れていない人にはこの独特な恩田さんの世界観を掴むのは難しく、読みづらいかもしれないなと思いました。

 

そしてこの作品は短編集ではありますが、少しずつ物語が繋がっています。

あまりにも登場人物が多いので、私は簡単な相関図みたいなものを書きながら読み進めていました。

登場人物の名前を把握しておくと、最後の章の「国道を降りて・・・」でより感動が増します。

私は「二つの茶碗」と「光の帝国」が好きでした。

 

基本は常野の人たちの日常が描かれますが、1章だけ過去が描かれています。

それがめちゃくちゃ哀しい内容なんです。

皆の最期のシーンを恩田さんは丁寧に描いていて、それがより哀しさを増します。

だけど、この過去がきっとキーポイントになんだろうなと思いました。

 

全国に散らばり、決して群れることがなかった常野一族。

最後は彼らが故郷の里に集結します。

集まった彼らが今後どのような展開を見せるのか、それは次作の『蒲公英草子』、そして最終作の『エンドゲーム』へと繋がっていくのでしょう。

 

蒲公英草子って漢字も響きも良いですね(笑)

ほのぼのしているタイトルですが、内容は結構グロかったりして・・・。

なんせ、学生の時はよく分からないまま読み終えたので、内容を覚えていないんですよね。

今読むと凄く良い話だったのでもったいないことをしました。

続きを読むのがとても楽しみです。

 

 

常野:権力を持たず、群れず、常に在野であれ、という由来から名付けられる。

『光の帝国』より抜粋

 

 

終わりに

 

恩田さんの作品で『蜜蜂と遠雷』『ドミノ』から入った人は、恩田さんの独特な世界観(ダークファンタジーちっくな雰囲気)に戸惑うかもしれません。

私は大好きなんですけどね。

特に『麦の海に沈む果実』が一番好きなんですが、いつかこの本も記事にしたいなと思っています。

 

 

 

 

 

 

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