今回読んだのは、ニコラ・スキナーさんの『ソレルとおどろきの種』
『ソレルとおどろきの種』のあらすじ
ソレルは真面目な小学六年生の女の子。
ある日、ソレルは家の裏庭のヤナギの木の下に封筒を見つける。その中には種が入っていた。と同時に、突然頭の中に聞こえてきた声。
「その種をまけば、必要なものが手に入る」
ソレルが欲しいのものは、優等生でいることで貰える「スター」の称号。だって「スター」に選ばれたらママが笑顔になってくれるから。
だけど、その想いとは裏腹に予想だにもしない展開になっていく・・・。
声の正体とは?ソレルが本当に必要なものとは?
環境問題を児童向けに分かりやすく提起したファンタジー小説。
『ソレルとおどろきの種』の印象的な言葉
「校長先生は、わたしたちを支配しようとしてたんだよね。競争させて、ばかげた規則にしたがわせたかっただけ。生徒にとってなにがだいじかなんて、あの人はぜんぜん考えていなかった。(後略)」
『ソレルとおどろきの種』(ハーパーコリンズ・ジャパン) ニコラ・スキナー より
『ソレルとおどろきの種』の感想
この本は、イギリスで「英ガーディアン紙が選ぶ 2019年度 年間ベストブック」に選ばれました。しかも作家のニコラ・スキナーさんはこれがデビュー作らしいです。
児童書ということですが、大人の私が読んでも十分楽しめる内容でした。
自然の大切さについて
この本の大きなテーマは「環境問題」だと思います。
コンクリートだらけの街で違和感なく暮らしている女の子が、あることをキッカケに自然の素晴らしさを知っていきます。
環境問題をテーマにするとどうしても地球温暖化だったり、少し難しい内容になりがちです。ですが、この本は学校のグラウンドだったり、家の庭(イギリスらしいです)のことを例に出すことで、子供たちが身近なことだと捉え、自然の素晴らしさを教えているのは上手いなぁと思いました。
「自分で考える」ことの重要性
私は、「自然」の他に、「自分で考える」ことの重要性を提起した本だとも思いました。
ソレルは母を喜ばせたいがために、優等生の証である「スター」になろうとします。だから、校長先生が芝生のグラウンドをなくして建物を建てようとしても何も思わないし、それに反対する親友を先生にチクったことで自分の評価を上げようとします。
最終的にソレルは緑がなくなることの危機感を覚え、親友とも仲直りするのですが、彼女は「自分で考える」ことの大切さをひしひしと感じたように思います。
だからこそ、印象的な言葉で紹介したような、ソレルは自分の意見をしっかりと言えた女の子へと変わりました。
今、別の本を読んでいる内容で、イギリスは「考える力」を養う教育をしていると書いてありました。
単純に娯楽としての読み物ではなく、教科書にもなりそうな内容をサラッと交えているところが、凄く良いなと思いました。
終わりに
かなり久しぶりに海外の児童書を読みましたが、内容自体もとても面白かったし、深読みをしたらハッとさせられた箇所もあり、児童書とはいえ侮れないなと思いました。(むしろ勉強になりました)
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