今回読んだのは、ショーニン・マグワイアさんの『不思議の国の少女たち』。
☑ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞
あらすじ
異世界に行った子供たちが、現実世界に戻った後、どうなったのか。現実世界で生き辛くなった彼らを受け入れる学校が存在する。その学校では、"向こう"に戻りたい子供たちを上手く心の整理をつけさせるセラピー的役割を果たしているらしい。ナンシーも死者の世界に行った一人で、親から心配されこの学校に入学する。すると、生徒たちが死んでいくという不気味な事件が起こっていく。
印象的な言葉
あんたは誰の虹でもない。あんたは誰のお姫さまでもない。あんたは自分以外の誰の扉でもないし、自分の物語がどうやって終わるか教えられるのは自分だけ。
『不思議の国の少女たち』(東京創元社) ショーニン・マグワイア より
感想
異世界に行った子たちが強制的に現実世界に戻されたその後、という内容はとても斬新だなーと思いました。
現実世界の話なので、魔法といったファンタジー要素は今回はありませんでした。
”向こう”の世界に行ったことで容姿や思想が変わり、それを受け入れられない親が子供を全寮制の学校に入れるというのは悲しいし、本人も"向こう"と"こちら"の世界のギャップに付いていけずに心に傷を負っているというのは読んでいて辛かったです。
そして学校にいる子たちは、"向こう"の世界に帰りたいと強く願っています。
つまり、よくファンタジー小説で異世界に行って活躍するという話は多いですが、そういう子たちは"こちら"の世界に馴染めなかったからなのかな…とも考えてしまいました。
海外小説ということで文体に読みづらさは多少ありますが、全220ページという比較的薄いのですぐに読めるかなと思います。
ただ、表紙がポップではありますが、事件などの内容は結構怖いし雰囲気は暗いので、表紙から内容を想像してしまうとちょっと違和感を感じるかもしれません。実際、私は戸惑ってしまいました。結果、内容はとても面白かったんですけどね。
ファンタジー小説というよりかは、学園物でそこで殺人事件が起こったと思ってもらった方が受け入れやすいかもしれません。
終わりに
こちらは三部作ということで、すでに残りの二作も刊行されているみたいなので、また読みたいなと思います。
最近、シリーズ物で第1作目を読むことが多いので、読みたい本がどんどん増えていきます。読みたい本が多いというのは幸せなことなんですけどね。
皆さんからすると、「コイツ、偏った読み方しているなー」と感じていると思いますが、どうぞ温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
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