千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や美術館、ライフスタイルのことも

『一朝の夢』 梶 よう子

今回読んだのは、梶よう子さんの『一朝の夢』。

 

一朝の夢 (文春文庫)

一朝の夢 (文春文庫)

  • 作者:梶 よう子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫
 

 

 

あらすじ

 

時代は幕末、朝顔栽培を唯一の生きがいとしている中根興三郎は、少し頼りないところもあるが心優しき青年だ。

重鎮、鍋島直孝を通じ宗観と知り合った興三郎は、思いも寄らぬ形で政情に係わっていく事になる。日本の転換期ともいわれる幕末の混乱の中で人々はどのように翻弄されてしまうのか。興三郎の行く末は・・・?デビュー作にして松本清張賞受賞。

 

 

印象的な文章

 

「大老でもねぇ、水戸でもねぇ、大義も忠義も背負わねぇ、ただ自分の大切なものを大事にしながら生きている、そんな旦那さまがお好きだったんでございますよ」

                     『一朝の夢』(文藝春秋) 梶 よう子 より

 

 

感想

 

作者デビュー作。この物語の前日譚を描いた本を以前このブログで感想を書いています。

 

www.chihirobook.com

 

 

この作品は小説なのですが、宗観みたいに実在の人物も多数出てきて、歴史通りに物語は進んでいきます。読み終わった後に、物語に登場した人達をwikiで調べたりして、彼らの辿った背景を知りました。

自分は最初、登場人物の名前を聞いてもピンと来なかったし、派閥といった幕府の中で蠢く政情も一度読んだだけでは理解出来なかったので、改めて日本の歴史を全然知らないんだなぁと落ち込みました。『西郷どん』は観るべきだった・・・。

作者も、私みたいな分からない人の為になのか、宗観という人物の正体を大袈裟に明かしてくれたのがとても嬉しかったです。

幕末というのは、開国派と攘夷派の争いからたくさんの人が無念の思いを抱きながら死んでいきました。この物語も悲しい結末でした。

ですが、思想は違えど彼らの思いがあったからこそ、明治政府が誕生し今の私たちがいるということを忘れてはいけないなと思いました。

 

 

終わりに

 

梶よう子さんの作品は過去いくつか読んだことがあります。

今でこそ謎解きの部分が作品のメインだったりするんですが、デビュー作はそこまでじゃなかったんですね。人気作家さんたちのデビュー作を読んでいくというのも新たな発見があって面白いかもしれません。