今回読んだのは、日向理恵子さんの『火狩りの王』の第3巻。
あらすじ
首都での戦いが始まった。炎魔や蜘蛛に必死に対抗する灯子たち。と、同時についに千年彗星〈揺るる火〉が現れる。“〈揺るるる火〉を狩った火狩りは、火狩りの王となるだろう”…世界が終わらないようにするために、その言葉を信じやってきた灯子たちは信じられない光景を目の当たりにする。その後、神族たちも戦いに応酬し首都は炎に包まれる。戦いの中で渦巻く陰謀と策略。果たしてこの世界はどうなるのか。人間たちが火におびえない生活がやってくるのだろうか。怒涛の展開のシリーズ第3弾。
印象的な文章
「……もう充分に死んでしまったのに。まだ殺しあいをする」
「生きとってください。お願いです」
『火狩りの王〈三〉』(ほるぷ出版) 日向理恵子 より
感想
待ちに待った3巻。雑誌ダヴィンチの特集「BOOK OF THE YEAR 2019」に児童書として異例のランクインしている大注目の本なのです。こんな重厚なファンタジーを子供の時に読める今の子たちが羨ましい。児童書なので多少字は大きいですが、大人でも読み応え十分の作品です。
さて、冒頭から戦いのシーンがあります。
途中、今まで謎だったことのほとんどが今作で明かされました。読んでいる私もびっくりです。特に神族たちが出てきたときは色々と衝撃でした・・・。
皆、何かに支えられながら歩くのが精一杯なほど体中を怪我していて、辛い現実をたくさん知って心が疲弊し、誰もが満身創痍になっていて、読んでいるこちらが辛くなりました。どこまで彼らに辛い試練を与えるのだろう、と。
それでも、こんなこんなに厳しい世界の中で、子供たちが自らの手でよりよい未来を全力でつかみ取ろうとする姿に胸を打たれます。彼らに立ちはだかる壁の高さを思うと、応援するしかありません。
印象的な文章でも取り上げていますが、この本は「生」と「死」がとても重要です。今までたくさんの命が失われてきました。ですが、この世界を救うには「生きて」「立ち向かう」しかないのです。今回、煌四がそのことに気付きました。次の巻では彼がどのように成長したのか見守りたいです。
終わりに
この作品は4部作ということで、次が最終巻となります。
今のところは絶望しかない状況ですが、最後は皆笑える日が来るんでしょうか。
なんとなくだけど十二国記の『白銀の墟 玄の月』みたいな終わり方になるんじゃないかと推測。発売日がいつなのかは分かりませんが、楽しみに待ちたいと思います。
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