千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や美術館、ライフスタイルのことも

『夜の底は柔らかな幻 上下』 恩田 陸

今回読んだのは、恩田陸さんの『夜の底は柔らかな幻』。

 

夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)

 

 

夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

 

 

あらすじ

日本の中で唯一治外法権の地である〈途鎖国〉。ここには在色者「イロ」と呼ばれる特殊能力を持っ者たちが存在する。

自身が途鎖国出身で在色者である主人公有元実邦は、ある目的を持って途鎖国に帰郷する。

闇月といわれるこの時期、在色者たちは途鎖に君臨する「フチ」の地位をめぐって殺戮をし、またある者は密かな目的を持って山深くを目指す。

入国管理官で非情冷酷で人を容赦なく殺す葛城、海外で快楽殺人者となった青柳、そして山の奥にひそむ「フチ」の神山倖秀。彼らには幼き時代を一緒に過ごし、山深くで「何か」を見た。電車で偶然会ったどこか不思議な雰囲気を持つ黒塚、実邦の「イロ」の先生だった屋島風塵も登場し、事態は大きく動き出す。

彼らの目的は一体何なのか。実邦は目的を達成できるのか。

 

感想

恩田陸さんは大好きな作家さんなのですが、中期の作品は実はあんまり読んでなかったので、2019年最後の本はこちらにしました。

この本は恩田ワールド満載!!そしてやっぱりダークファンタジーが好きというのを再認識。ファンタジーといっても私はライトノベルなどを書いている日本人作家は読まないのですが、恩田陸さんや宮部みゆきさんといった文芸作家さんが書くファンタジーは読んだりします。といっても基本は海外作家さんが多いんですけどね。

 

この本は何の説明もなしに、「イロ」や「フチ」というワードが出てきて、最初はこの世界に入り込むのが難しかったですが、あっという間に引き込まれてしまいました。

そして周りの登場人物たちが皆個性的でとても良かった。特に葛城なんて登場したときは、容赦なく人を殺すしヤバイ奴だったんですが、最後はとても魅力的に見えてしまい応援さえしていまうほどに。女性陣も良かったなぁ。

イマイチよく分からなかったのが、有元実邦の正体。結局「イロ」がとても強いということしか分かりませんでした。何故昔、葛城の目を潰したのかも説明がなくて残念。もしかしたら見逃していただけなのでしょうか・・・。

上下巻あったのですがあっという間に読んでしまいました。もっとこの世界に浸っていたかったです。この作品の前日譚を描くスピンオフ小説『終りなき夜に生れつく』を2020年最初に読もうと思います。

そして、もう一度「遠野物語」など恩田ワールドが炸裂している本を2020年の間に読み直したいなと思います。