千尋の読書感想文

読んだ本について感想を書いています。たまに映画や絵画鑑賞、暮らしのことも

『夢の花、咲く』 梶 よう子

今回読んだのは、梶よう子さんの『夢の花、咲く』

 

夢の花、咲く

夢の花、咲く

  • 作者:梶 よう子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/07/11
  • メディア: Kindle版
 

 

西洋ファンタジーが大好きな私ですが、時代小説も好きなんです。その中でよく読むのがこの梶よう子さん。まだ全作読んでいないのですが、いつかコンプリートしたい作者の一人です。

 

あらすじ

時代は幕末。黒船がやってきて、江戸では理由なき不安みたいなものが広がる雰囲気の中、ある植木職人が斬殺される事件が起こる。朝顔を育てることを生きがいとしている北町奉行所で閑職勤めの興三郎は、ひょんなことから犯人捜しを手伝うことに。犯人捜しの途中で襲う安政の大地震。周りの人たちが自分のやるべきことをやっている姿を見て自分の不甲斐なさを知る興三郎。自分には何が出来るのだろうか。苦悩する興三郎が出した答えとは。そして、植木職人を殺した犯人とは。江戸時代でブームを起こした朝顔を中心に繰り広げられる物語。

 

感想

朝顔を核にここまで話を広げられることに単純に驚きがありました。

そして主人公の興三郎。姓名整理という、同心の中でも閑職とされている職につきながらも定時に帰れることに満足し、朝顔を育てることに喜びを感じるのんびりした性格。興三郎は父と兄が立派な同心だったので、自分に自信がなく周りからも「頼りない人」という目で見られますが、興三郎が自分に出来ることを見つけ、自分を肯定した時は誰も「頼りない人」とは言わなくなります。

もし、これを現代に置き換えてみた場合、興三郎の生き方って私は良いんじゃないのかなと思います。今の日本は働き方について大きな転換点にきています。終身雇用制度が崩壊し、出世を望まなくなった若者が増えている中、『仕事=趣味』に出来ている人が勝ち組だと言われています。つまり、仕事にやりがいがあるか・仕事が楽しいかどうかが焦点となってくるのです。

ですが、それが理想としながらも出来ない人も多いことも事実。興三郎みたいにお金のために働き、定時になったら帰宅し、残りの時間を趣味に充てる。仕事は仕事、趣味は趣味としっかり線引きする考え方も私は好きです。そしてその生き方を肯定出来れば幸せな人生になるんじゃないのかなと思います。

 

 

終わりに

どうやら、この作品は続編があるみたいなので、(どちらかというとそちらがメインらしい)人の名前を憶えている内に読みたいと思います。